TikTok売れは、TikTok上で紹介された商品がバズり、ターゲットに魅力が認知されて大ヒットすることです。
ターゲットの共感を得られる良質な情報を伝えることで、無名商品でもコストを抑えながら大ヒットにつなげられます。
今回は、TikTok売れの仕組みや要因を紹介します。
「TikTok売れ」とは、TikTokで紹介された商品がバズをきっかけに爆発的に売れる現象のこと。無名の商品や新興ブランドでも、短期間で認知を獲得し、大ヒットにつながる可能性があることから、今やマーケティング戦略に欠かせない手法の一つになっています。
TikTokは、2025年3月時点で国内の月間アクティブユーザー数が約3,300万人にのぼり、10代の70%、20代の52.1%が利用しており、全体の約3割の人が利用しているというデータがあります。こうした背景から、「若者向けSNS」という枠を超えて、購買行動に影響を与えるプラットフォームへと進化していると言えます。
特徴的なのは、「TikTok上でのバズ」が他のSNSやECサイト、実店舗にまで波及し、口コミ→検索→購入という動線が自然に生まれる点です。一度注目されると、プラットフォームを超えて一気に拡散が進むことも多く、“TikTok発のヒット商品”としてメディアに取り上げられることもあります。
このあと、本記事では以下のような内容を解説していきます。
「TikTokを使ってどう売るのか?」という疑問を解き明かすヒントとして、ぜひご活用ください。
参考:TikTok Academy for Brand Playbook vol.1 | TikTok for Business
引用:令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書 | 総務省
TikTok売れが起こる理由は、大きく分けて次の2点です。
TikTokは、フォロワーが少なくても良質な口コミがあればヒットにつながる点が特徴です。
TikTokは、フォロワー数に関係なく、視聴維持率が高い良質なコンテンツほど拡散されやすい仕組みになっています。ユーザーの「おすすめフィード」に掲載されることで動画が拡散し、大ヒットにつなげることができます。
TikTokは、以下のようなアルゴリズムをもとにユーザーの「おすすめ」を選別しています。
判定基準 | 具体的な判定内容 |
ユーザーインタラクション | 動画の「いいね」や「シェア」、アカウントのフォロー、コメント投稿、作成したコンテンツの実績 |
動画情報 | キャプション、サウンド、ハッシュタグなどの内容 |
デバイスとアカウント設定 | 言語や国の設定、デバイスの種類など。ただし他の要素より重要度は低い |
この仕組みによって、良質なコンテンツであれば無名ブランドでもバズが起こせる土壌が整っており、まさに「アイデアと共感力次第で売れる時代」を象徴しています。
TikTokでは、信頼できる口コミ(特に第三者視点)に対する感度が非常に高い傾向にあります。
その背景には、以下のような心理効果が働いています。
心理学的効果名 | 概要 |
ウィンザー効果 | 第三者からの「おすすめ」「評判」情報は信頼されやすい。友人や知人からの情報の場合は説得力がさらに増す。 |
バンドワゴン効果 | 一度流行した商品は自分も欲しくなる |
ジャムの法則 | 選択の負担を減らしたほうが購買につながる |
プロスペクト理論 | 「今買わないと損」と思わせることが購入促進につながる |
コミットメントと一貫性 | 動画を視聴して「自分のためになる商品」と思ったら購入を進めたくなる |
ユーザーは、商品に関するポジティブな投稿や共感できる体験談を見ることで、「これは自分にも良さそう」「信頼できそう」と感じ、購買意欲が刺激されます。
このように、拡散されやすい構造と心理的に購買を促すコンテンツの形が組み合わさって、TikTok売れが生まれているのです。
TikTok売れの特徴は、TikTokのメインユーザー層であるZ世代がよく使う商品において発生しやすいという点です。
株式会社電通プロモーションプラスの調査によると、15~24歳のZ世代の女性は、他の性別・年代と比べてTikTokの「おすすめ」や「いいね」を重視しているとされています。また、15~19歳男性の39.3%、15~19歳女性の47.6%、20~24歳女性の50.6%が「TikTokのバズをきっかけに商品を買いたいと思ったことがある」と回答しています。
実際にZ世代がSNSのバズを通して購入したものとしては、以下のようなものが挙げられます。
年齢・性別 | 購入した商品やサービスの例 |
15~19歳男性 | 食品・ヘアサロン・プチプラコスメ・ダイエットグッズ |
20~24歳男性 | 食品・ヘアサロン・美容クリニックやエステ・雑貨 |
15~19歳女性 | プチプラコスメ・食品・高価なコスメ・ヘアケア用品 |
20~24歳女性 | プチプラコスメ・高価なコスメ・ダイエットグッズ・食品 |
このように、「安くて日常的に使うもの」「身近な課題を解決してくれるもの」は、Z世代の共感を得やすく、バズから購買へつながりやすい傾向があります。
とはいえ、高額商品でTikTok売れを実現している事例も存在します。
たとえば美容家電や旅行商品、資格取得サービスなどでも、「比較動画」「体験レビュー」「感情に刺さるビフォーアフター」などを通じて、購買につなげているケースがあります。
つまり重要なのは価格帯よりも、「この商品は自分の課題を解決してくれる」と思わせる情報設計です。
商品そのものの良さを伝えるのではなく、ターゲットの目線で“買う理由”を言語化することが、TikTok売れの起点となります。
TikTokで商品が話題になったとしても、それだけで必ずしも購入につながるとは限りません。ユーザーが「自分に必要」と感じ、実際の購買アクションへ移るには、意図的な情報設計と導線づくりが欠かせません。TikTok経由での購買を促進するには、次の3つのポイントを意識した運用が有効です。
TikTokの仕組みをうまく活用して、ユーザーの共感を得られる情報発信を実行することが、商品の購入につながります。
TikTokをマーケティングに活用する際のコツは、「ビジネスアカウントから質の高い情報を発信すること」です。
TikTokには個人・ビジネスの2種類のアカウントがありますが、ビジネスアカウントのみで使える機能として以下のようなものがあります。
ビジネスアカウントのみで使える機能 | 各機能の概要 |
商用楽曲ライブラリーの利用 | 投稿時に使用できる楽曲を自由に選べる |
プロフィール情報追加 | 会社情報、SNS・企業サイトのリンクなどが設置できる |
インサイト分析 | 動画の視聴数やプロフィールの表示回数、フォロワーの属性などを確認できる |
投稿動画の分析 | 視聴回数や再生時間、平均視聴時間などを把握できる |
ユーザーの心に刺さるコンテンツ作成において、フォロワーの特性やユーザーが共感する要素の分析は不可欠です。TikTokでそのような分析を行うには、ビジネスアカウントの機能が必要となります。
また、ビジネスアカウントには、購入導線を形成できるというメリットもあります。一般アカウントでは1,000人のフォロワーを獲得しないとプロフィールにリンクを設置できませんが、ビジネスアカウントであれば初期から自社や販売ページへのリンクを設置可能です。
また、2025年6月にはアプリ内ECであるTikTok Shop機能も日本で実装されるとの情報もあるため、こちらもチェックしておくとよいでしょう。
インフルエンサーを活用して、自社の投稿をバズらせるのも有効な施策の一つといえます。インフルエンサーマーケティングとは、TikTokをはじめとしたSNS上での影響力が強い発信者に、自社の商品の宣伝を依頼する方法です。
インフルエンサーマーケティングには、主に次の5種類があります。
施策の例 | 施策の概要 |
製品・サービスの無料提供 | インフルエンサーに商品やサービスを提供し、それを使ったコンテンツを投稿してもらう |
イベント招待・現地訪問 | インフルエンサーを店舗やイベントに招待し、体験した内容を投稿してもらう |
ライブコマース | 商品やサービスをリアルタイムで体験する様子を配信してもらう |
タイアップ企画 | 商品やサービスの共同開発やコラボキャンペーンなどを行う |
ハッシュタグチャレンジ | 提携したインフルエンサーからユーザーに参加を促しブランドの認知度向上を図る |
インフルエンサーは、それぞれが得意とするジャンル・領域をもっています。そのため、自社の商品・サービスの特徴や、ターゲットとするユーザーに合ったインフルエンサーを活用することで、効果を最大化させられます。
この手法の最大のメリットは、インフルエンサーの知名度による情報の拡散効果と「あの有名人がすすめているから」というウィンザー効果を期待できる点です。無名な商品・企業が短期間でTikTok売れを引き起こすうえでは、かなり有効な手段だといえるでしょう。
TikTokには「広告アカウント」という広告発信を主体としたアカウントがあります。広告アカウントを作り、ビジネスアカウントを併用することで、商品に関するコンテンツがユーザーの目に留まる確率を高められるでしょう。
TikTok広告には、主に次の4種類があります。
広告の種類 | 概要・特徴 |
TopView・起動画面広告 | アプリ起動時に表示。強制視聴型で短期的なインパクトが大きい |
インフィード広告 | 通常投稿の間に差し込まれる広告。自然な閲覧導線が作れる |
ハッシュタグチャレンジ広告 | ユーザー参加型で拡散性が高く、ブランド体験を広げやすい |
ブランドエフェクト | オリジナルスタンプやARフィルターで“遊びながら接触”できる仕掛け |
広告を使う際には、自社の商品やターゲットの特性を踏まえて、適切な手法を選択しましょう。
重要なのは、「いかにも広告です」とならない自然な訴求です。
また、商品の魅力を伝えつつも、広告色が強くなりすぎないよう工夫することも重要です。自然とユーザーを引き込み、共感を得られるコンテンツ作りを意識しましょう。
アトムストーリーが支援したTikTokマーケティングの成功事例として、ガーデニング・園芸用品の製造・販売を手掛ける「ハイポネックスジャパン」のケースを紹介します。
再生回数が伸び悩んでいたなかで、商品紹介を前面に出した内容から、「観葉植物を育てる初心者」に向けた情報発信へとコンテンツを転換し、アカウントの信頼性を獲得しました。
このようにユーザーの声に応えながらベネフィットを訴求した結果、再生数は1年で650万回を突破。また「これ見て買いました!」「私も同じやつ使ってます!」といったコメントが多数寄せられ、TikTok経由で購入されるようになりました。
株式会社カップス様は、自社のコーヒーマシン「KEURIG」の認知拡大とショート動画コンテンツの収集を目的に、UGCの企画がヒットしました。その結果、TikTokユーザー10名による15本の投稿で、総フォロワー数6,499人に対して98,327回再生。フォロワー数の15.1倍もの再生数を獲得する大きな反響を呼びました。
特に、「曜日ごとにカプセルを選ぶ」というユニークな企画は、TikTokの視聴者心理に刺さり、高いエンゲージメントを実現。1ユーザーだからこそ挑戦できた、UGCならではの自由な発想が、バズを生み出す鍵となりました。
この事例は、無名商品やニッチな商材でも、アイデア次第で大きな認知と売上につながる好例と言えるでしょう。
アトムストーリーでは、TikTokを活用したマーケティング支援を強みとしています。ユーザーの共感を得るショート動画を「アニメ」「実写」双方で対応可能です。
運用プランや投稿スケジュールについては、クライアントのニーズや目標に合わせて柔軟に調整できます。コンテンツ作成だけでなく、アカウント設計や投稿管理、効果測定までワンストップでサポートし、マーケティングの費用対効果の最大化を追求します。
TikTokをはじめとしたSNSでのマーケティングにお悩みの方は、ぜひ一度アトムストーリーにご相談ください。
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