SNSでユーザーと企業担当者が直接コミュニケーションを取ることは、ユーザー自身のロイヤルティを高めるだけでなく、企業の対応を見た他ユーザーからの評価や信頼にもつながります。SNSはブランドに対するユーザーのリアルな声を知れる場としても貴重です。
本記事では、SNSでのユーザーとの関係性の深め方から、SNS媒体ごとのコミュニケーションの違いを紹介します。
SNSユーザーからのリアクションに対して、企業側からも積極的にコミュニケーションを取ると、次のような効果が期待できます。
ユーザーの投稿に企業が反応すると「企業が応えてくれた!」と、ユーザーに強く印象づけられます。その結果、ブランドをより身近に感じ、継続的な関心を持ってもらいやすくなります。
企業の商品・サービスに関する一方的な情報発信では、ユーザーとの親密度は醸成されません。そのため、SNSで一定の成果を上げている企業の多くは、SNS上でのコミュニケーションを重視しています。
SNSでコミュニケーションを取る方法は、反応型と能動型の2つあり、次のような違いがあります。
ユーザーのコメントに対する企業側の返信は、他ユーザーの目にも触れるため、企業への理解が深まるきっかけになります。
SNS上での接触回数が増えることで単純接触効果(*1)が働き、ユーザーから企業への好感度が増します。
*1:単純接触効果とは、何度も繰り返し接触するうちに、相手に対して好感や親近感を持つようになる心理効果のこと。心理学では「ザイアンス効果」とも呼ばれる。
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SNSでユーザーとの接点をつくるには、それぞれの媒体に適したコミュニケーション機能を活用することが、ブランドの認知度を高める上で重要です。
媒体ごとに、ユーザーの特性や浸透している発信方法は異なるため、各SNSにおけるコミュニケーションの特徴を確認しておきましょう。
LINEやFacebookユーザーは、リアルな友人・知人による関係性が強く、情報の公開範囲が限られるケースが多く、拡散性は低い傾向にあります。
一方、TikTokやX(Twitter)、Instagramユーザーは、個人の興味関心を多数に向けて発信できます。中でもX(Twitter)はフォロワー間だけでなく、その先のフォロワーにまで情報が届きやすく非常に拡散性が高い媒体です。
SNS運用を行う際は、情報発信が活発で、多くのユーザーに情報が届きやすい媒体の選択がマーケティング効果を最大化させます。
ユーザーとのコミュニケーションを生み出すコンテンツ制作では、次の点を意識することが大切です。
PRを目的としたアカウント運用では、「ユーザー参加型キャンペーン」の活用が効果的です。キャンペーンを通してユーザーとの接点が増え、ブランド理解やエンゲージメントが高まるだけでなく、企業側にとっても顧客理解を深める機会となり、新たな発見にもつながります。
また、一般的にユーザーは商品と3回接点を持つことで認知し、7回接点を持つことによって商品を見かけたときに購入しやすくなると言われています。接点回数を増やせば増やすほど好感度も向上しますが、10回を超えると好感度の伸びは鈍化する傾向があります。
以上のことから、SNSでコミュニケーションを取ることによって認知度が向上するだけでなく、ユーザーの購入意欲を促すことにもつながると言えます。
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アカウントを運用する際、ユーザーと円滑なコミュニケーションを生む上で重要な3つのステップを紹介します。
狙ったターゲットに響くコンテンツを制作する上でも不可欠なステップのため、確認しておきましょう。
ペルソナを設定することは、狙ったターゲットに確実に情報を届け、スムーズなコミュニケーションを実現するために欠かせません。
趣味や嗜好の多様化が進んだことで、大まかなターゲット設定ではファンの獲得やエンゲージメントの向上が難しくなっています。
共感を得たユーザーの投稿やコメント・DMを通じてリアルな声を収集することで、「企業が想定していた理想像」と「実際に関心を持ってくれている層」のズレを調整できます。
運用で得られた情報からPDCAを回し続け、ペルソナの精度を高めていきましょう。
ユーザーが自発的なコミュニケーションを起こしたくなるアカウントに成長させるためには、ユーザーニーズを把握した上で情報発信を行うことが重要です。
ターゲットに的確に訴求できれば、「自分の課題に合っている」「理解してもらえている」といった共感が生まれ、ユーザー側からのアクションが期待できます。
ユーザーのコメントへ丁寧な対応を心がけることで、ユーザーのロイヤリティが高まり、より密なコミュニケーションへの発展が期待できます。
SNS内の機能を有効活用することにより、ユーザーとのコミュニケーションが取りやすくなります。
コメントやDMなどの反応が少なく、なかなかコミュニケーションが生まれない時は、次の機能を活用してみてください。
上記の機能を活用することでユーザーの反応が可視化され、ユーザーとのコミュニケーションがとりやすくなります。
発信に対する反響が得られれば、改善、再発信のサイクルが生まれ、コミュニケーションを生むコンテンツ制作に活かせるようになるでしょう。
株式会社ハイポネックスジャパンは、堆肥・農薬・培養土・活力剤の製造、販売を手がける企業です。
ターゲットとコンセプトを見直し、再生回数は650万回以上、TikTok内に届いたコメントにスピーディに返信対応することで商品購入につながりました。
TikTok運用当初は「商品説明中心の発信」を行っていましたが、ユーザーとのエンゲージメントを高めるため、「植物を初めて育てる人向けの内容」に特化する方針へと転換。ターゲット層を再検討し、若い世代や園芸初心者に寄り添ったコンテンツ設計を行いました。
具体的には、観葉植物の育て方やよくある失敗例と対処法など、「植物のある暮らしの楽しさ」を伝える動画を発信。再生回数やコメントが増加する中で、ユーザーからの質問に丁寧に返答する体制を整備していきました。
寄せられたコメントに丁寧に返答していくうち、エンゲージメント率も向上し、直接購入に結びつくきっかけとなりました。
運用上の工夫として、自社製品以外に関する問い合わせには「製品元への問い合わせをお願いします」と明記したガイドラインを定め、対応の線引きを明確に。また、コメント返信のベース文面にはAIを活用するなど、運用負荷を下げつつスピーディな対応を実現しました。
福岡県を中心に展開する新生堂薬局は、X(旧Twitter)キャンペーンにより、コメント数1,100件超、リポスト数1,700件超という大きな反響を獲得しました。
同社では、「気軽に専門家に相談できる薬局」としての存在価値を伝えるため、パラパラ漫画と連動したストーリー性のある投稿を企画。ユーザーが共感しやすい「日常のあるある」や「悩み」をテーマに、コメント参加型のキャンペーンを展開しました。
結果として、「相談できる場所があると安心できる」「信頼できる薬局という印象を持った」といったコメントが多数寄せられ、サービスの価値訴求と信頼の醸成につながりました。
SNSユーザーは、コミュニケーションを通じてブランドへの信頼を深め、商品・サービスへの理解を高めていきます。その結果、企業に対する好感度も向上します。
また、活発なやり取りの中でユーザーの本音や期待が見えてくることで、商品改善やサービス開発に活かせるヒントも得られます。特にTikTokやXのような拡散性の高い媒体では、ユーザー参加型の企画がエンゲージメントを飛躍的に高める一手になります。
こうした取り組みを成功に導くには、単に機能を活用するだけでなく、「どんな感情を動かし、どんなストーリーで関係性を育むか」という視点が不可欠です。
SNSを通じてユーザーとの“関係性を設計する”ことにこそ、本質的なブランディングの価値があります。
アトムストーリーでは、こうした感情設計やストーリーメイキングの視点を軸に、SNS運用やキャンペーン設計のご支援も行っています。単なる情報発信ではなく、「語られ、共感される体験」を通じて、ブランドの“信頼される存在”づくりをお手伝いします。