
近年、SNSやYouTubeなどで企業と消費者が直接つながるようになり、購買の決め手は“感情”へと移っています。
機能や価格の差が小さくなった今、消費者はモノではなく「共感できる体験」や「価値観の一致」に反応します。
しかし多くの企業が「感情を動かす発信をしたい」と思いながらも、どのように設計すれば成果につながるのか分からないのが実情です。
その解決策が「エモーショナルマーケティング」です。
目次
エモーショナルマーケティングとは、商品やサービスの機能ではなく、顧客の感情に働きかけて購買や行動を促すマーケティング手法です。
単に感動を狙うのではなく、企業の想いや体験を“構造的に設計”し、共感を通じて「この企業だから選びたい」と思わせる状態をつくります。
アトムストーリーでは、感情を“偶然ではなく構造的に生み出すもの”と捉え、その基盤としてストーリーマーケティングを位置づけています。
感情を喚起するだけでなく、記憶に残り、行動へとつながる仕組みを設計することが目的です。
関連記事:ストーリーマーケティングとは? 事例から仕組みや効果を解説

多くの企業は「感情に訴えたい」と考えながらも、“どう設計すれば感情が動くのか”を言語化できていません。
アトムストーリーでは、感情を“偶然生まれるもの”ではなく、“構造的に設計できるもの”と捉えています。
この3層を映像やコピーで伝える際、アトムストーリーが重視するのが「余白」です。
情報を詰め込みすぎると、受け手の想像力が働かず、感情が入り込む余地がなくなります。
余白とは、“視聴者自身が心の中でストーリーを完成させるための空間”。
そのため私たちは、あえて手描きのパラパラ漫画というシンプルな表現で、受け手に想像を委ねる構成を採用しています。

エモーショナルマーケティングの目的は、「感動させる」ことではありません。
感情を介して、選ばれる理由をつくることにあります。
その背景には、情報があふれる時代における“記憶の選別”という構造があります。
人は機能や価格ではなく、「自分の体験と結びついた記憶」を基準に選択を行うようになっているのです。
主なメリットは以下の3つです。
感情価値で選ばれるということは、機能の比較から“記憶の比較”へと軸を移すということです。顧客が商品やブランドを「自分の経験や価値観と重ね合わせて思い出せる状態」をつくることで、単なる性能比較ではなく「この企業の想いに共感できるから」という理由で選ばれるようになります。
そのためには、単にストーリーを語るのではなく、記憶に残る構造(情緒と体験)で印象を形成することが不可欠です。
アトムストーリーでは、こうした“体験想起型の記憶設計”を意識し、感情と記憶を結びつける映像表現を設計しています。
感情を介してブランドと結びついた顧客は、もはや「消費者」ではなく「参加者」になります。その理由は、共感を通じてブランドの物語が自分の物語として再構築されるからです。
心理学的に、人は「自分が関与した物語」を肯定する傾向があり、
この“自己物語化”が長期的なブランド愛着の源になります。
つまりロイヤリティとは、繰り返し接触することではなく、「自分ごと化されたブランド体験」が記憶の中に定着することなのです。
SNS上でシェアされる投稿の多くは、「商品」そのものよりも、その商品にまつわる感情やストーリーです。
人は共感した瞬間を他者と共有したくなり、結果としてブランド価値が自然に拡散していきます。
このとき拡散されるのは「商品名の認知」ではなく、「商品価値の認知」です。
つまり、SNSを通じて伝播しているのは広告情報ではなく、
「誰かの感情体験を通して見えたブランドの意味」なのです。
アトムストーリーが行うSNS連動型ストーリー設計では、
こうした「感情の伝播構造」を意識し、体験価値そのものを社会的共有へと導いています。
また、BtoB企業においても有効です。
たとえば、採用ブランディングや理念浸透など「企業の想い」を可視化する場面では、
社員や応募者が“自分ごと”として感じられる構造を設計することで、社内外の共感を同時に高められます。
感情訴求は強力な手法ですが、誤った設計では逆効果になることもあります。
アトムストーリーの制作現場で見えてきた“失敗しやすい3つのパターン”は次のとおりです。

「誰に伝えるか」ではなく、“どんな悩みや期待を抱えている人に寄り添うか”から設計を始めます。
たとえば、
アトムストーリーでは、この「顧客の感情構造」を把握するために、ヒアリングやSNS上の共感コメント分析などを活用し、
“なぜその感情が生まれるのか”を構造的に理解するプロセスを重視しています。
企業のストーリーや提供価値を「理解→共感→行動」の3層に整理します。
どんな感情を経て行動させたいのかを明確に定義することが、設計の基盤になります。
動画・文章・漫画など複数の手段の中から、感情を伝えやすいフォーマットを選びます。
中でもパラパラ漫画は、「余白」を生かした表現で受け手の想像を引き出せるため、感情設計に最適です。
感情を動かした後の行動(SNSシェア・LP誘導・資料請求など)をあらかじめ設計します。
SNS投稿はこの導線設計の一部であり、動画やキャンペーンと連動して「共感→行動」を自然に生み出す役割を持ちます。
施策の反応を“感情データ”として分析し、次の施策に活かすことが重要です。
アトムストーリーでは、コメント内容や反応のトーンを分析するセンチメント分析を導入しています。
参考記事:センチメント分析とは?SNSの「共感」を可視化する方法
公開1ヵ月でLP誘導・アクセスが1.2倍、資料請求は2倍に増加。
「孫のためにリフォームする」という動機をテーマに、20秒の短尺ストーリーで訴求。
孫が寒い浴室を嫌がる場面と、リフォーム後に一緒に入浴する場面を対比し、“機能ではなく想いで選ぶ”メッセージを伝えました。
写真と漫画を組み合わせてBefore/Afterを明確にし、共感起点のリフォーム訴求を実現しました。
家電リサイクル法の正しい利用を促す啓蒙キャンペーン。
「違法回収業への依頼でトラブルになる不安」を軸にしつつ、不安を煽らず“正しい選択の大切さ”を伝えるストーリー設計を実施。
1分動画の視聴完了率46%(平均の約3倍)を達成。
さらにX(旧Twitter)のプレゼントキャンペーンでは、「注意喚起ありがとう」「分かりやすい」といったコメントが多く、
「無料回収」「軽トラ」など生活実感のあるワードで具体的な共感が多数寄せられました。
特に地方在住者にとっては“自分ごと化しやすいテーマ”となり、高いエンゲージメントを生みました。
お茶づけを食べてホッとできる瞬間を描いたパラパラ漫画をシリーズで公開。
ビジネスマン、バスの運転手、農家、お笑い芸人など、さまざまな立場の人が登場し、
「日常の小さな幸せ」を情緒的な価値として訴求しました。
(出典:Netatopi掲載記事)
SNS上で「あなたと菊正宗」というテーマでエピソードを募集。
応募された実体験の中から3名のストーリーをパラパラ漫画化し、年末年始にSNSで公開しました。
世代を超えた“熱燗の思い出”や“親子の晩酌”など、お客様の体験そのものをブランドストーリーとして可視化。
広告的ではない“日常の感情”を描くことで、視聴維持率が高まり、共感コメントが多く寄せられました。
エモーショナルマーケティングの本質は、「感情で操作すること」ではなく、“感情の構造を理解して伝えること”にあります。
そのためには、表現技術よりもまず、顧客の感情構造を理解し、共感が自然に生まれる仕組みをつくることが大切です。
アトムストーリーのパラパラ漫画ムービーは、
余白のある表現で想像力を掻き立て、言葉では伝えにくい想いや価値観を物語として届けます。
単なる広告ではなく、共感を通じて顧客の心を動かす“差別化の最初の一歩”として活用できます。
さらに、アトムストーリーが提唱する「ストーリーマーケティング」は、
エモーショナルマーケティングのさらに上流概念として、
“企業がどんな物語で価値を生み出すのか”を設計するフレームです。
私たちは、その設計思想をもとに、感情を構造化し、企業の“違う価値を感じて選ばれる”状態をつくっています。