太陽誘電株式会社
住友様(左) 村田様(右)
※インタビューでは、高橋様にもリモートで参加いただきました
太陽誘電株式会社(本社・東京都中央区)は、自動車・情報インフラ・産業機器市場に電子部品をグローバルで製造販売するメーカーです。「会社案内」と「製品紹介」で4本のパラパラ漫画ムービーを制作しています。
――既に会社案内ムービーや「セラコンって、何?」といったブランドムービーを実写で制作されていましたが、その上でアトムストーリーにパラパラ漫画ムービーを依頼されたきっかけを教えていただけますか?
高橋様 情報を色々な方々にお伝えするときにどういうふうに見せ方を変えて訴求するのか、伝えるか、というのが1つのテーマとしてあったんです。
そんな時に展示会でアトムストーリーさんの出展ブースを見て、「あ、これだ!」と思ったんですよ。優しく、アットホームな感じが出せ、なるべく短い時間で何がポイントなのかをパッと伝えられる動画ができるんじゃないか、と。表現手法を悩んでいたので、パラパラ漫画ムービーというのは、その解決策としては非常に良かったと思っていますね。
「会社案内」のパラパラ漫画ムービーの1コマ
――ありがとうございます。これまでに制作した5本のパラパラ漫画ムービーは、一般の方に向けたストーリーになっていますが、その背景を教えていただけますか?
高橋様 過去に作った動画は、どちらかと言えば技術者向けの内容だったんですが、当社のステークホルダーの幅広さを考えると、技術者だけじゃなく、学生や株主の方にも広く分かっていただけるような動画を作りたいと考えていました。それで、学生や一般の方に向けて、やわらかなテイストの動画があってもいいなと思ったわけです。
――やわらかなテイストという部分についてもう少し深く伺いたいのですが、パラパラ漫画ムービーという表現手法とストーリー性でしたら、どちらを重要視されていましたか?
高橋様 パラパラ漫画ムービーという表現手法ですね。シンプルで、動きも見やすいので、その点が分かりやすさにつなげられると思いました。
――これまで5本の作品を制作いたしましたが、出来上がった作品とパラパラ漫画ムービーに対する期待との間にギャップはありましたか?
高橋様 特にギャップはありませんでしたね。
制作担当として、村田様(左手前)は5本すべて、住友様(左奥)は3本の制作に携わっています。
――ありがとうございます。では、アトムストーリーのパラパラ漫画ムービーの良さを、どんな風に感じていらっしゃいますか?
村田様 まず、手描きによる優しさやおもしろさ。言葉がなくてもこちらが届けたいストーリーを受け手に伝えられるところですね。そして、なんと言っても、作品を見終わってからのじんわり感と温かさですよね。号泣して涙をボロボロ落とすようなタイプの感動ではなく、見終わった後に充実感ですごく満たされるところが魅力的だと思います。当社のパラパラ漫画ムービーについても、時間が経つとともに愛着がじわじわと湧いてくるような作品になっていると思います。
――これまで制作したパラパラ漫画ムービーで伝えたかった想いをあえてまとめていただくとしたら、どういったことになるでしょうか?
高橋様 「製品紹介」の4本に関しては、世の中のお困り事に対して、当社の製品がその課題を解決していくというストーリーになっています。同時に各製品の機能や特長もわかりやすく紹介しています。
太陽誘電株式会社様のミッション「おもしろ科学で より大きく より社会的に」は、5本のパラパラ漫画ムービーすべてのエンディングに登場するキーフレーズ!
――これまでのパラパラ漫画ムービーの制作過程を振り返っての感想をお聞かせください。
村田様 1本目の「会社案内」の時は、人物の絵のテイストをどっちにするかといったような社内の調整や確認作業もそれなりにありましたが、全体としてはそこまで大きく行き詰まることもなく、割とスムーズに運んだと思っています。
――苦労された作品もあったと思いますが、いかがでしょうか?
住友様 一番苦労したのは「製品紹介」のパラパラ漫画ムービーの「MLCC」に登場したDr.セラコンのキャラクター作りですよね。セラコン工場をモデルに、存在しないキャラクターをゼロから作り上げていく作業だったので、産みの苦しみを味わいました(笑)、何度か描き直しをやっていただけたおかげで、最終的には納得いくものに仕上がったと思っています。ありがとうございました。
「MLCC」のパラパラ漫画ムービーに登場するDr.セラコン。数回の試行錯誤を経て命を吹き込まれた完全オリジナルキャラクター!
――制作過程で、「ここがやりにくかった」「実はこんなことで困った」などがありましたら、率直なご意見・ご感想をお聞かせください。
村田様 困ったこととは少しニュアンスが違うかもしれませんが、アニメーションになって初めて気がつくことが出てくるんですよね。アニメ化後に修正していただいた部分も若干あり、そこはご迷惑をお掛けしたなと思っています。
――絵コンテで事前にご確認いただきながら制作を進めていましたが、実際にアニメーションになった時の動きが想像しづらかったということでしょうか?
住友様 そうなんです。絵コンテに描かれた絵が動き出した時に、それがどんな出来上がりになるのか、アニメーションが仕上がってくるまではなかなか分からないので、いつも苦労しています。それこそ紙でパラパラって、本物のパラパラ漫画を見るみたいにチェックできたら有難いなと思うんですが(笑)
――動きで何かを伝えたい場合もありますので、絵コンテ時に仕上がりイメージに対する認識合わせを関係者の間でしっかりできるように、弊社の方でもやり方を工夫し、努力していきます。
制作過程を振り返り、インタビューに答えられる村田様(左)と住友様(右)
――最後に、これまでに制作されたパラパラ漫画ムービーの活用方法や反響についてお伺いします。まず、1本目に制作した「会社案内」についてお聞かせください。
高橋様 海外の展示会やウェブでも使用していますよ。海外では、日本と言えば当然アニメーションというイメージがありますので、効果的だと思っています。毎年アメリカで開催され、世界中から4,500社が出展し数十万人が訪れる「CES」という世界最大級のテクノロジー展示会がありますが、そこでもこのパラパラ漫画ムービーを上映しましたよ。
「人とくるまのテクノロジー展 2023 NAGOYA」にて、太陽誘電様の展示ブースでモニター上映される「会社案内」
(右写真・手前のモニター)や「製品紹介」(右写真・奥のモニター)のパラパラ漫画ムービー
――展示会で使用する目的でパラパラ漫画ムービーの制作をご依頼いただきましたが、展示会以外の説明会や社内イベントでも広く活用されているということですね。4本制作した「製品紹介」のパラパラ漫画ムービーについては、どのような反響がありましたか?
高橋様 WEBサイトのビデオライブラリに掲載して活用しております。英語・中国語版も作成しましたね。海外向けはライフスタイル・人種多様性に工夫した作品なので活用しやすいです。
住友様 「MLCC」のパラパラ漫画ムービーについては海外拠点に駐在する方から「この動画は英語版にしないの?とてもいいよ!」という嬉しい声をいただきました。その他では、「社外の方を招くイベントで使用してもいいですか?」と相談を受けることもありますね。
高橋様 電子部品を製造している会社の動画でいきなり手書きのアニメーションが出てきたら、ほとんどの方はビックリするはずですよ。「へー、おもしろいことしますね!」って。それが狙いなんですけどね(笑)
――確かに、製造業やメーカーと言えば、まだまだ「固いイメージ」とのギャップがあるとよくお聞きします。
高橋様 まさにそこなんです、狙っているところは。そのイメージを逆手にとってと言いますか、固いイメージをうまく崩して、「太陽誘電って電子部品をつくる会社なのに、こんなおもしろいことをやっているんだ」っていうのを世の中にどんどん広めていきたいんです!だから、アトムストーリーさんには、これからも期待してますよ(笑)
――この度は貴重なお話、ありがとうございました。
太陽誘電株式会社様の動画(会社案内)はこちらのURLからご覧になれます。
(取材日2023年6月23日)
【編集後記】
約3年間ご一緒にお仕事をさせていただき、既に5本のパラパラ漫画ムービーを制作していますが、このような形でインタビューするのは、実は初めてでした。今回、ご担当者様それぞれがパラパラ漫画ムービーに対して抱いている気持ちや制作の感想などを伺えて、本当に良かったと思いました。これまで作品の感想や当社に対する期待感を聞く機会がなかったので、高橋様から「パラパラ漫画ムービーに対する期待と完成した作品の間に特にギャップがない」という言葉をいただけた時は、内心とてもホッとした自分がいました。
記事には盛り込めなかったのですが、インタビューの最後に「個人的にパラパラ漫画ムービーを作るとしたら、どなたに贈りますか?」と質問しました。すると、「頑張っている子どもに」「愛する夫に」「すべてのスタークホルダーに」と三者三様、その人柄が溢れたような回答が!パラパラ漫画ムービーを制作している時も、3名の担当者様でそれぞれ考える内容や言ってくださる内容が異なるので、制作サイドとしては、いつもとても貴重な意見をいただいていると感謝しています。全員が同じ意見を持っているのも、とても素敵だと思いますが、違う意見があると、そこからさらに深掘りやすり合わせができるので有難いです。これからもさらに素敵なアイデアがたくさん出てくるのではないかと思いました。
今後もパラパラ漫画ムービーの制作はもちろん、ぜひそれ以外のコンテンツなどの制作やお手伝いもさせていただき、この縁を大切にしていきたいと思いました。
(瀧/ストーリープランナー)