福岡・熊本を中心に地域密着型の展開を続ける新生堂薬局様が、「相談できる薬屋」というブランドイメージをより広く届けるために取り組んだのが、パラパラ漫画を活用したコミュニケーション施策だった。
この動画施策は、単なる広告としてではなく、社内外への理念共有や共感の種まきとして設計されたもの。その後のX(旧Twitter)でのキャンペーン展開にまで波及し、大きな反響を呼んだ。
本記事では、新生堂薬局様がどのようにパラパラ漫画を起点に価値を伝え、SNSを通じて生活者と接点を育んだのか、その裏側をひも解く。
価格競争や利便性だけでは選ばれない時代。新生堂薬局様が改めて大切にしたのは、地域の人々との信頼関係だった。日々の相談を通じた関係性づくりこそが、自社の強みであり、そこにもう一度光を当てたい。そんな思いが企画の出発点だったという。
「お薬だけでなく、日常生活のことまで相談していただける存在になりたい。従業員にも改めてその想いを共有したかった」と語るのは、営業戦略を担う有働氏。
表現手法に選んだのは「パラパラ漫画」
企画を推進したのは、宣伝会議主催のセミナーで、アトムストーリー代表・村上の講演を聴いた、社内のメンバーの声だった。そこで紹介されたパラパラ漫画のストーリー表現に共感し、「新生堂の価値観とも親和性がある」と直感したという。
実際に制作された動画では、日常の悩みに寄り添う薬局の姿が描かれ、最後には登場人物たちが笑顔になる温かなラストが待っている。その映像に「自社らしさを感じた」「鉛筆のタッチもやさしくて伝わりやすかった」といった声が社内外から寄せられた。
この動画を活用して実施されたXキャンペーンでは、相談できる薬屋というテーマのもと、感情に響く投稿とインセンティブとして、アマゾンギフトを組み合わせて実施。
キャンペーン実施期間は約1ヶ月。投稿は広告なしのオーガニック運用にも関わらず、リツイートは2,400件を超え、リーチは51,000に達した。
約1,800件の応募コメントのうち、70.6%が「心が温まった」「相談できる薬局が近くにあるのはありがたい」といったポジティブな反応で占められました。特に「相談」「安心」「地域」などの言葉が頻出し、「相談への共感・期待」が最も多いタイプとして分類されました(当社レポート分析より)。
動画施策は、店頭やXだけでなく、社内報や店長会議でも共有された。従業員からは「動画を見て自社の価値に改めて気づいた」「原点に立ち返るきっかけになった」といった声が上がったという。
また、社内では「ありがとうキャンペーン(サンキュープロジェクト)」が自発的に立ち上がり、店舗スタッフ同士でメッセージカードを送り合うような文化が広がった。外向きのブランディングが、内側のエンゲージメントにも好影響を与える結果となった。
キャンペーンの実施にあたっては、SNSの運用面でも小さな改善が加えられた。特に「引用リポストを活用して締切まで継続的に発信する」という運用方法は、従来のキャンペーンでは見られなかった取り組みだった。
その結果、投稿のインプレッションや反応の質に変化が現れた。過去のコラボ施策と比べて、文字量の多い、具体的な共感コメントが増えたことが印象的だったという。
「今回は自社から発信したからこそ、お客様の心に届いた実感があった」と橋本氏は語る。
本キャンペーンは、今後テレビCMとしても7月に放映予定(福岡・熊本エリア)。その前段として、SNSでの反響を確認できたのは非常に有意義だった。
「今後も、母の日・敬老の日などの節目に合わせて、感謝や相談の気持ちが伝わるような展開をしたい」と語る野村氏。新生堂薬局様では、今回の取り組みを通じて「届け方を工夫すれば、企業の想いはちゃんと届く」という手応えを得た。
今回の取り組みは、単に動画を納品して終わるのではなく、その後の活用や発信において、顧客の想いとストーリーが社会に伝わるプロセスを伴走する形となった。
私たちアトムストーリーは、パラパラ漫画という“伝える手段”を通して、「企業が何を大切にしているか」「誰のために存在しているか」を社会に届けるお手伝いをしています。
「想いを存在させる」ために、動画のその先の展開も含めたご相談があれば、ぜひお気軽にお声がけください。