株式会社サッポロライオンは、ビヤホール「銀座ライオン」などを全国展開する老舗飲食店チェーンです。2024年8月4日に創業125周年を迎えられました。今回、その125周年の節目に合わせて「JOY OF LIVING/生きている喜び」という企業理念の社内浸透を図る一環として、当社のパラパラ漫画ムービーをご使用いただきました。
株式会社サッポロライオン 営業本部 営業統括部 奥野 愛様
―パラパラ漫画ムービーを制作しようと思ったきっかけは何でしたか?
奥野様 例のコロナ禍で飲食業界は大打撃を受け、私たちも店舗営業を自粛したり、アルコール飲料の提供を控えたりと苦しい時期が続きました。そんな時でも、お客様から「やっぱりビールが飲みたかったよ」「ライオンさんのビールが飲みたかったよ」といった声をたくさんいただきました。本当に苦しい時期でしたが、「私たちの原点は、やっぱりこの生ビールなんだ。生ビールを軸にしてやっていこう」と、当社の存在意義の根幹を再認識し、そこから当社の企業理念を再定義していく取り組みが生まれていきました。そして、2023年1月から当社の存在意義に「JOY OF LIVING WITH BEER」を掲げました。それを従業員に伝えていく方法を考えていく中で、「映像で、それもアニメーションで伝えると、従業員の心をつかむんじゃないか」という結論に至り、アトムストーリーさんにパラパラ漫画ムービーの制作をお願いしました。
―さまざまな映像表現がある中で、パラパラ漫画ムービーを選ばれた決め手は?
奥野様 アトムストーリーさんのホームページに掲載されたパラパラ漫画ムービーの事例を拝見して、あたたかく優しいタッチの表現がすごくいいなと思ったのが1つの理由です。また、当社には外国人の方もいますし、世代も幅広く、本当に多様な従業員が働いていますので、あえてセリフや言葉がない方が、私たちの届けたい想いが伝わるのではないかと思いました。それもパラパラ漫画ムービーを選んだ大きな理由ですね。
―すると、今回の動画をアトムストーリーで制作するというのは比較的スムーズに決まったわけですか?
奥野様 スムーズでしたね。展示会などで以前からアトムストーリーさんのことは知っていましたし、ホームページに掲載されていた事例を見て、「これなら絶対に大丈夫でしょう!」みたいな感じでしたね(笑)
―ありがとうございます(笑)制作に先立って、当社のパラパラ漫画ムービーに期待されていたことはありますか?
奥野様 企業理念を社内に浸透させるには、その言葉やフレーズをただ覚えてもらっても、それに行動が伴わないと意味がないと思っていました。今でもその考えに変わりはありません。ですから、「動画を見てよかった」で終わらず、動画を見た従業員が自分事にして何かしら行動に移すまでの変化を期待していました。
―その期待には、応えられましたか?
奥野様 実際、行動に移してくださっている方もいますし、すごく結果に結びついたと思っています。
―セリフや言葉によらない非言語的な表現で、様々な国籍の従業員の方にも見ていただいたと思いますが、伝えたい想いはちゃんと伝わっていましたか?
奥野様 伝わっていますね。外国人の方からも、「感動しました。私たちもこういう店を作りたいです」と感想をいただきました。そのコメントを読んで、「すごいな、しっかり伝わるんだ」と感じました。
―パラパラ漫画ムービーを通して、文化背景の違う外国籍の従業員の方にもサッポロライオン様のホスピタリティーがしっかり伝わったわけですね!
奥野様 そうなんです。すごく貴重な体験でした。そういう面でも、今回作ったパラパラ漫画ムービーは会社の財産になると思いました。
―今回のパラパラ漫画ムービー制作で、こだわったポイントはどこですか?
奥野様 ストーリーを組み立てるのにすごく悩んだ時期がありました。でも、アトムストーリーさんや社内チームのメンバーと何回も話すうちに、「実際にあったお客様の感動エピソードを持ってこようよ」というアイデアが生まれて、一気に方向性が定まりました。お客様から寄せられた「感動的な実話」をストーリーの中に組み入れたことで、ぐっとリアルな動画になったと思います。今回の動画でこだわったポイントの1つですね。
それから、動画の長さ(尺)ですね。
―全編で約3分ですね。
奥野様 本当に悩みました。「3分だと長いかな?1分くらいの方が最後まで見てもらえるのかな?」と相当迷ったんですけど、完成した作品はしっかり皆さんに見ていただけ、大好評だったので、3分にしてよかったと思いました。「3分だからこそ、伝えられた」と、今なら言えますね。
―3分と聞くと長いと思われがちですが、興味がある方にはそれくらいの長さ(尺)の方がしっかり見ていただけることも少なくありません。そういう意味で、今回の作品は伝えたい想いが、届けたい方へしっかり届いた作品になっていたと感じます。
その他にも、感動エピソードの舞台となる銀座七丁目店の壁画や各メニューなどこだわりを感じさせるシーンも多く、従業員の方には特に刺さる内容に仕上がっていたのではないでしょうか?
奥野様 生ビールを印象的な黄色に塗っていただいたり、「液体:泡=7:3」という生ビールの黄金比を徹底して、ジョッキの星マークの定位置に生ビールの泡がくるようしていただいたり、そこはこだわりましたね(笑)
―色味はブランドカラーで色指定のある企業様も少なくありませんが、泡の位置まで指定されたのは初めてでした!(笑)私たちも動画チェックでは、いつも以上に細かくチェックしていました。
星マークの定位置にビールの泡がくるよう、7:3の黄金比にこだわりジョッキに注がれた生ビール!店舗で提供されているジョッキ(左上写真)とパラパラ漫画ムービーのワンシーン(右下写真)を見比べると、そのこだわりがわかります。
実際の店舗(左上写真)とパラパラ漫画ムービーのワンシーン(右下写真)。現存する日本最古のビヤホールである銀座七丁目店でのシーンでは、名物の壁画や特徴的なホールの天井などもしっかり再現!
―今回制作したパラパラ漫画ムービーは、どのように活用されていますか?
奥野様 当社の公式YouTubeに投稿して、そのリンクをLINE WORKSなどの社内コミュニケーションツールで発信したり、従業員専用アプリで発信したりしました。社内で行っているホスピタリティー研修の冒頭でも流しています。
その他、名刺にQRコードを載せてパラパラ漫画ムービーを見られるようにして、お客様と名刺交換する際にこの動画をどんどん紹介してくださいという取り組みも行っています。せっかくいい動画に仕上がったので、たくさんの方に見ていただきたい、届けたいという想いがあります。
―パラパラ漫画ムービーの反響や評判はいかがですか?
奥野様 コメントは社内からいただくことが多いですが、同じグループ会社であるサッポロビールの広報の方からも「すごく想いのこもった動画なので、ぜひサッポログループ全体でシェアさせてください。公式X(旧Twitter)に上げたい」と連絡いただき、すぐに(2024年5月)公式Xに全編ノーカットでYouTubeのリンクを貼っていただきました。これには自分でもビックリしましたが、グループ会社間の連携が生まれ、すごくうれしかったです。
―様々な展開が広がっていくのはうれしいですね。
奥野様 やはりパラパラ漫画ムービーという表現が新鮮だったようで、「こんなのがあるんだ」といった感じで、社内だけでなく、サッポログループの他社の方もすごく興味を示されていました。グループ会社の交流サイトに作品をアップしたところ、「ライオンさんの強い想いを感じました」「ライオンさんが125年続いている理由が分かります」など、うれしいコメントをいただきました。
―店頭でこの動画を流しているサッポロライオン様の店舗もあるそうですが、制作をご依頼いただいた時にはそのような活用方法は予定になかったと記憶しています。店頭でこの動画を流すことは計画にあったのでしょうか?
奥野様 インナーブランディング目的で、企業理念を社内へ浸透させることが目的でしたので、「社内の方に見てほしい」「新人アルバイトの方への教育などに使ってほしい」と思っていましたが、店舗でお客様向けに流すことは考えていませんでした。店舗スタッフの方から直々に「店頭で流してお客様に見てもらいたいです。データください!」と声をかけられた時は想定外のことだったので驚きましたが、これもすごくうれしい反応でしたね。
―全社員を対象にアンケートを実施されたと伺いました。
奥野様 そうなんです。LINE WORKS のアンケート機能を使って、「動画を見ましたか?見てどう感じましたか?」というアンケートを全社員490名に取りました。
―相当な数ですよね?
奥野様 そうですね(笑)でも、この動画を全従業員に届けたいという想いがあったので、「しっかり感想やコメントをもらおうよ」と社内チームの中で意識合わせをし、アンケートを大々的に実施しました。
―アンケートでの感想はいかがでしたか?
奥野様 反響の大きさに、ビックリしました。「感動しました。初心に戻れる、いいきっかけになりました」「自然と涙が出てきました。ジーンと温かい気持ちが心に残っています」といった感想やコメントを長文で書いてくださった方もたくさんいらっしゃって、本当にうれしかったです。
―世代や勤続年数でアンケートのコメントに違いや傾向は見られましたか?
奥野様 若い方は「こういう店作りをしていきたい」というコメントが多かったですね。勤続年数の長い中堅・ベテランの方は、ご自身の経験や家族との思い出なども想起されていて、そういったところにコメントの違いはありました。
―特に印象に残っているコメントはありますか?
奥野様 すごく印象に残っているのは、その従業員の息子さんが幼い頃に「サッポロライオン」に家族で訪れ、ナポリタンを食べた思い出について書かれた感想です。その時に食べたナポリタンがおいしかったので、それ以来よく家族で作るメニューになり、今でも大人になった息子さんと一緒にナポリタンを作っているそうなんです。「サッポロライオン」で食べたナポリタンが思い出のメニューなので、「デジャブでした。この動画を見て、その思い出と重なって、この映像がさらに自分の大切な物語になりました」と。それを読んだ時は、私も思わずウルウルとなりました。セリフや文字情報がないからこそ、「見るタイミングや見る人によって、パラパラ漫画ムービーの感じ方が全然違うんだな」と、そのコメントに触れてすごく感じるところがありました。
―その思い出は、今回の動画に出てきた男の子そのままですよね。
奥野様 そうなんですよ!動画で描かれたエピソードをご自身の思い出と重ね合わせている方がいらっしゃって、うれしい驚きでした。
動画の後半で描かれたナポリタンに目をキラキラと輝かせる男の子のエピソード
―サッポロライオン様のホスピタリティーやリスペクトといった想いや理念を従業員の皆さんへ伝えるという目的については、今回のパラパラ漫画ムービーでどれくらい達成できたと感じていますか?
奥野様 達成度を数値化するのはなかなか難しいですが、想いは伝わったと言い切っていいかもしれません。全社員の方へ実施したアンケートでも、「心の底に染みるものがあり、自分もこうありたい、と素直に感じました」「飲食で働こうとした原点を思い出しました」など、心を動かされたというコメントがたくさん寄せられましたし、さらに「自分もこういう店を作りたいんだ」と行動に移してくださったり、この動画を新人教育に使ってくださったり、様々なことが今も現在進行形で派生している状況なので、これからも経過を見守りたいと思っています。
企業理念をプリントしたカードを作り、それを唱和する取り組みなども行っていますが、やはりパラパラ漫画ムービーを見たことによって、少なくない従業員の方が「自分たちもこんな店にしたい」と自分事として捉え、すごくたくさんの共感が生まれました。
―動画が出来上がってからの社内での変化が大きかったわけですか?
奥野様 はい、すごく大きいですね。
―ここまでサッポロライオン様の反響を伺って、我々も「想いを存在させる」という当社のミッションを体現できた作品に仕上がったことを非常にうれしく感じています。今回、これほど多く共感を呼び、たくさんのうれしいコメントが寄せられた作品を作り上げられた成功要因はどこにあったと思いますか?
奥野様 当社は2024年8月4日に創業125周年を迎えました。飲食店が125年も続くのは本当に難しいことで、それを実現できたのは、先輩方の想いと店舗を愛するお客様がいてくださるからこそです。そこには本当に感謝しかありません。そうした方々への感謝の気持ちを丁寧にパラパラ漫画ムービーに表現してもらえたことが、多くの方に共感していただけた要因だと思います。またお客様からの感動エピソードを盛り込むことでストーリーにリアリティが出たことも大きかったと思います。
―そういえば、初回の打ち合わせの段階で、サッポロライオン様のホスピタリティーについてしっかりまとめられた資料を持参されていたのを思い出しました!今回の動画制作にかける熱量の大きさを感じましたし、結果として、それがこの反響につながった気がします。
奥野様 実は今回のパラパラ漫画ムービーをアトムストーリーさんに依頼する前から、社内チームで「企業理念を従業員に浸透させるために、どうやって伝えたらいいか?」とずっと対話に対話を重ねていました。
―パラパラ漫画ムービー制作を依頼される前から、ずっとアイデアを練られていたわけですか?
奥野様 そうなんです。社内チームで定期的に議論を続けていて、ものすごく対話を重ねていました。自分でも大変だったなと思いますけど(笑)、そのおかげで「何を伝えたいのか?」と、伝えるべき根幹を深掘りできたと感じています。企業理念である「生きている喜び」という当社のホスピタリティーを表現する言葉に対しても、その意味をチームのみんなで繰り返し議論しました。みんなで対話にかけた時間の分だけ、私たちの伝えたいという想いもどんどん醸成されていき、創業125周年という節目を迎えるに当たって先輩方の想いをつなげていきたいという想いも強くなっていましたね。
―「何を、どのように伝えるか」といった基礎コンセプトがしっかり整理された状態でパラパラ漫画ムービーの制作に入れたので、より深掘りされたアイデアを作品にできたように感じます。だからこそ、刺さる部分が多く、これほど多くの皆さんに感動してもらえたのではないかと思います。
奥野様 はい、本当にそう感じます。とてもいいご縁(タイミング)だったと感謝しています。
サッポロライオン様の企業理念
―最後に、改めてアトムストーリーのパラパラ漫画の魅力についてお聞かせください。
奥野様 私たちが伝えたい想いだけでなく、見る人によっていろいろなことを想起されたり、感じ方や心に響くポイントが違ったりするので、受け手の中でイメージがどんどん豊かに膨らんでいくところが一番の魅力だと思います。
―この度は貴重なお話、ありがとうございました。
株式会社サッポロライオン様の動画はこちらのURLからご覧になれます。
(取材日2024年7月8日)
編集後記/
納品後に全てのクライアント様から作品の反響についてご連絡いただくわけではないので、サッポロライオン様から社内での反響に関するメールを受け取った時は、純粋にうれしかったです。しかも、たくさんの方の心に響いたと伺い、さらにうれしい気持ちになりました。今回のインタビューで担当の奥野様と久しぶりにお会いし、とてもうれしそうに反響結果を話してくださる様子やメールでは知りえなかった内容をたくさん伺えて、本当に幸せな気持ちに包まれました。
今回、パラパラ漫画ムービーの制作に入る前に行うヒアリングの段階でストーリーやプランなどの内容をしっかりと固めてくださっており、最初はとても驚きました。それと同時に、その資料を見て「とても想いのある作品に仕上がりそう!」と内心ワクワクとしたのも覚えております。このたびの反響は、サッポロライオン様のご担当のみなさまの想いが実を結び、花を咲かせた結果だと確信しています。
特に思い入れの強いシーンは、パラパラ漫画ムービーの後半に出てきた男の子のエピソードです。ここは、ストーリー案の時点で何度も修正を行いました。というのも、実際にあったエピソードを3分という限られた尺(時間)の中で、「どこまで表現するか?」「どんな表情にしたら伝わりやすいか?」「20歳になって戻ってくるきっかけはどんな表現にしようか?」などを細かくすり合わせする必要があったからです。
実は当初、私はフィクションのストーリーを提案していたのですが、その後、実際にあった感動エピソードを盛り込むことになりました。担当者の方からお話を伺い、それをしっかり形にしたシーンでもあるので、とても思い入れがあります。
その舞台となった銀座七丁目店は、制作時の打ち合わせやこのインタビューを行ったオフィスの1階にあるので、インタビュー後に立ち寄らせていただきました。その時はまるで「聖地巡礼」をしている気持ちでした(笑)(瀧/ストーリープランナー)
サッポロライオン様では、様々な国の方が働いていらっしゃると伺いました。その皆さんが今回の作品を見て感動してくださったことが本当にうれしかったです。「パラパラ漫画ムービーは、国境を超えてしっかり伝わるんだ!」という実感を持てました。
それと同時に、制作に入る前から担当者のみなさまで、「企業理念を従業員に浸透させる」というミッションをどうしたら成功させられるのか、という部分を何度もやり取りされていたと伺っていました。そのため、動画制作の目的が整理されていたことが大きな反響につながった要因とも思いますが、担当者のみなさまの想いの強さがそのまま作品に反映されたのが決め手になったのではと思っています。
今回のご縁を振り返ると、最初の商談では取締役の淀縄様と1対1の商談だったのですが、その時からパラパラ漫画ムービーを気に入ってくださっていたのを覚えています。しかし、その際はまだ何に使うかまでは決まっておらず、「一旦持ち帰って検討する」という結論になりました。一旦持ち帰りになった場合、受注につながらないことが多いのですが、サッポロライオン様は真剣にご検討くださり、2回目の商談をお声がけくださいました。その席で動画制作に対する熱量をヒシヒシと感じ、社員のみなさまと同じように作品の完成を心待ちにしていました!今回、本当に心温まる作品に仕上がっているのを見て、営業として関われたことをうれしく思っています。
また商談を通して、サッポロライオン様は従業員のみなさまをとても大切にしている会社だと感じました。従業員の方が気持ちよく働けるように、従業員教育に時間をかけ、マインドを醸成されている点もそうですし、地域のみなさんから愛され、125周年を迎えられたことに誇りを持って業務に臨んでいる姿など、伝わってくるものが多々ありました。私もそのホスピタリティーを見習いたいと思います!(梅樹/営業)